ムートンの羊毛は人間の髪の毛と同じ構造でキューティクルにおおわれています。
しかもこの羊毛1本1本がコイル状 ( まさにスプリングの形状をした天然パーマ )
の形をしており、これが1平方センチメートルあたり約3000〜5000本密
生しているわけです。この羊毛1本1本が無数の点となり体を支えることにより、
体圧分散のみならず、通常の面で支える寝具等と比べて体表の毛細血管の血流を
維持するはたらきが生まれるのです。この特性が、睡眠時の寝返りをする回数を
減少させ、快眠につながるのです。また、寝たきりのお年寄りの方や、生後間も
ない赤ちゃん(寝返りが出来ない)、療養治療中の方にとてつもない効果を発揮
するようです。
ウールはたくさんの空気(体積の約60%といわれています)を含んでいます。
また、密生した羊毛の中も多量の空気を含んでいます。空気の熱伝導率が大変低い
ために、ウールの熱伝導率も他の繊維に比べ低く(ナイロンの約60分の1、綿の
約5分の3)保温性、断熱性に優れています。したがって、ムートンシーツを
利用すると自分の体温でムートンを暖め保温することとなり、冬期はとっても
暖かく感じ、また夏期についても自分の体温と近い温度の空気に包まれることと
なるので比較的暑く感じることなく快適です。
ウールの吸湿性は、ポリエステルの約40倍、綿の約2倍もあります。逆に、ウールのもつ構造により水ははじいてしまいます。この相反するはたらきにより、むれたり、じめじめしたりすることなくいつもさらさらです。湿気の多い梅雨時などにも最適です。
ウールの水をはじく性質により、水溶性の汚れをはじくことにもつながり、吸湿性のよさは静電気による汚れの発生を抑えてくれます。また、織り込んだ繊維ではないので、汚れが隙間に入り込むこともありません。また、撥水性のキューティクルに覆われているので、水を弾きます。こういった特性から汚れにくい性質をもっているといえます。
人造繊維の多くは火が付くと燃え始め、燃えつきるまで消えない繊維もあります一方、ウールを燃やすと、毛髪などと同様に特有の臭気を発してもえますが、火を遠ざけると燃えとまります。
人間や動物の皮膚は、ウイルスや細菌などが侵入してくると、それを無害で無毒な物にする免疫機能があります。ウールとは、もともと羊の皮膚が変形して生まれたもので、最近の研究で免疫機能が備わっていることがわかってきました。
繊維は、湿気を吸収すると「吸着熱」と呼ばれる熱を発生します。中でもウールは抜群の吸着熱を生み出す繊維です(木綿の約3倍、ポリエステルの約20倍)これは、吸湿性のよさとも関係し、湿気(気体)を取り込んで、これがウールの中では水分(液体)に変わります。その際に多量の熱を外界に発散し、暖かく感じるのです。逆に、放湿するときは反対で熱を奪うので夏涼しく感じられるのです
人間の髪の毛や産毛等とほとんど同じ組成をしています。したがって、通常体内にはいっても分解吸収されます。
ただし、ムートンを製造する際にさまざまな薬品等が使われています。
販売されている商品の中にはびっくりするような遊離ホルマリン濃度を持った商品(なかにはノンホルマリンなどとタグがついていたりするから恐ろしい!)等もあります。
特に、高密度で弾力性、反発性に富んだムートンを使用すると床ずれにはほとん
どなりません。また、うっけつ状態で紫色に変わりつつあるような症例の場合、
数日で治ってしまいます。ウールの一本一本が体圧を分散し、体を無数の微小な
点で支えることにより、その点と点との間には同じく無数の隙間が生まれます。
この隙間の部分の表皮はほとんど圧がかかっていない状態で毛細血管の血流も
妨げられません。床ずれのジョクソウというものは、寝ている状態で自分では
体位変換(寝返り)を行うことが出来ずに体圧のかかっている部分の血流が損
なわれ、最後にはその部分の細胞が壊死してしまうことにより発生します。
高密度のムートンを使用することにより、血流が損なわれるのを最小限に抑え、
うっ血を防ぎます。最近では、治療用具としても認められ、もちろん介護保険
も適用されています。
高密度のムートンを使用することで寝返りが減り、その分目がさめる
タイミングがすくなくなるのでは?と考えられます。よくはわからない
のですが、腰痛がましになったとか体の調子がよくなった等うれしい
感想を聞くことも多いのですが、ムートンの特性によるものと考えて
います。